この日のゲストは、
1998-99年度ロータリー財団 国際親善奨学生 大野 裕美さま
【ロータリー留学を振り返る ~Before France、After France~】
今から25年も前のことですが、ロータリー財団の1998-1999年度国際親善奨学生として、フランスに留学させていただきました。
今日は奨学生制度の話や留学時代の思い出、帰国後のことについて、簡単にお話ししたいと思います。
私がなぜロータリー留学することになったかという経緯です。
私は幼い頃、ピアニストに憧れた時期がありました。高校時代は少し本格的に音楽大学を目指し、海外留学に憧れていました。その頃に習っていたピアノの先生が、ロータリー奨学生としてドイツに留学したことがあり、私も同じように留学を夢見ていました。ドイツがなぜフランス推しに変わったのかというと、フランスにも有名な音楽家が多く、中でも「ボレロ」で有名なラヴェルのピアノ曲と出会ったことでフランスへの興味が少しずつ沸いてきました。
音楽の道を断念し、大学、大学院とフランス語、フランス文学を専攻した私はロータリー留学がしたいと思い、「国際親善奨学生」の試験を受けることにしました。必ずしも希望が通るとは限りませんが、私の場合は希望通り、フランスの南部モンペリエ大学に留学することができました。なぜパリではなくモンペリエという地方都市を選んだのかというと、私はポール・ヴァレリーというフランスの詩人・思想家を研究していました。モンペリエ大学はヴァレリーも学んだ大学です。
国際親善奨学生として海外に派遣されると、顧問ロータリアンがつきます。ホストファミリーとは違い、ホームステイするわけではないですが、留学生活の面倒を見たり、困ったときに助けてくれたりする相談役です。
奨学生の1年間は、モンペリエRCの例会に毎週招かれていました。その他、クラブの小旅行にも何度か連れていっていただいたことがあります。また、国際親善奨学生の期間中は、各地域のRCからの招きもあります。各地のロータリアンたちと交流するのが役割です。研究が忙しくてなかなか参加できない奨学生もいましたが、私は比較的真面目にほとんどの招待に応じていました。
日本帰国後の約20年の歴史です。まず大学院に復学し、単位のみ取得して博士課程を満期退学しました。博士号を取得し、大学教員になるというのが、研究者としてのエリートコースですが、経済的な問題もあり、私は早々に断念し、一般企業・団体に就職しました。
最初は専業で家庭教師等しながら食いつなぎ、2007年から約3年間は、芸術文化団体で勤務していました。その後、この芸術文化団体で上司だった方の紹介で、射水市にある製薬企業に採用していただき、もうすぐ14年が経ちます。
ロータリー財団のホームページによれば、これらの「プログラムに参加した経験のある」者は、皆、ロータリーの「学友」だそうです。
第2610地区学友会の報告会・交流会は、毎年11月上旬に開催されています。学友会メンバーと地区のロータリー関係者が集い親睦を深める場です。ロータリークラブからは、パストガバナーや現ガバナー、次期ガバナー、財団委員の皆さんなどがいらして下さいます。昨年3年ぶりに金沢で開催され出かけてきました。さすがに例年よりは参加が少なかったですが、学友会からは9名出席していました。
帰国以来、交流会に初めて参加したのは2016年のことでした。青山さんと初めて知り合ったのも、このときです。
第2610地区のパストガバナー荒井公夫氏も毎年のように参加して下さっています。かくしゃくと挨拶なさる姿には毎回敬服しています。その後、2017年、2018年、2019年、と毎年欠かさず参加してきました。専攻は様々ですが、海外体験によって目が開かれ、広い視野を持てるようになったという点では、どの学友会メンバーも共通しており、価値観を共有できる部分が多いです。
Before FranceとAfter Franceで、自分自身、劇的な変化があったとは思いませんが、留学生活によって得た多角的な視点や気づき、相対的な感覚が自らの深層心理というか、潜在意識に刷り込まれている気はします。
フランスで学んだ「知識」を使って仕事ができているわけではないですが、フランスで身につけた「感覚」が、大なり小なり、日々の生活に生きている気もします。
日本に暮らす外国人に対し、寛容な目で見守ることができるようになったのも、自分自身の留学時代のことを思い出すからだと思います。母国以外の国で異邦人が暮らすことの大変さを身をもって知っているからこそ、自分が助けられたように、彼らも助けてあげたい、という気持ちが自然と芽生えるようになりました。
以上、ご清聴ありがとうございました。皆さんのためになるようなお話ではなかったかもしれませんが、ロータリー財団の重要なミッションというか、役割の一つとしての奨学生制度について、少しでもご理解いただけたならと思います。
「人生の宝」とも言える経験をさせてくれたロータリー財団、ロータリー・クラブの皆様には本当に感謝しています。
お世話になった方たちに直接恩返しすることはできませんが、社会貢献という形で恩返しができるようになれれば、と常に思っています。改めまして感謝の言葉を述べて締めくくりたいと思います。
本当にありがとうございました!

地区ロータリー財団委員長の青山和也さまがお越しくださいました。 記念撮影しました📷